株式会社ライトアップ代表取締役社長 白石崇氏 2/3

会社名:株式会社ライトアップ (証券コード:6580)
代表者:代表取締役社長 白石 崇(しらいし たかし)
略 歴:1997年に筑波大学第二学群人間学類を卒業後、1997年に日本電信電話株式会社に入社。NTT東日本上野支店法人営業部、株式会社ぷららネットワークなどを歴任。2001年に株式会社サイバーエージェントに入社しコンテンツ部門の立ち上げ責任者を歴任後、2002年にライトアップを設立する。
所在地:東京都渋谷区渋谷二丁目15番1号 渋谷クロスタワー32階
設 立:2002年4月5日
事 業:中小企業の生産性向上のためのITツール導入支援などを中心としたコンサルティング業務およびWebコンテンツの制作
資本金:3憶8,638万円
URL:https://www.writeup.jp/

ライトアップは、2002年に元サイバーエージェント社コンテンツ部門メンバーが中心になり設立され、当初は様々な企業の「メールマガジン」の編集代行を手掛け、その後、「メルマガ」→「ブログ」→「バズマーケ」→「ソーシャルマーケ」→「SEO」→「クラウドツール」→「経営支援」・・・と業態の拡大と転換を繰り返しながら、現在は第18期を迎えました。「受託制作業務」「クラウドツール開発卸業務」「全く新しい新規事業業務」の3つにバランスよく取り組み、全国、全ての中小企業を黒字にするそのために、「世の中が望むサービスを全力で提供し続けていく」をモットーに、あらゆるネット系新規事業にチャレンジし続けています。

立ち上げたビジネスモデルのスケール

杉本:Jエンジンの収益が約6億円とおっしゃっていたと思うんですが、現在16億円ですよね。この内訳を教えていただけますか?

白石:16億円の売上のうち、4億円が前期の着地になります。そのうちクラウドソリューション事業、今のJエンジンとJDネットが全体の75%。残りの25%がメルマガやホームページといった受託制作です。

杉本:25%は創業からやっていらっしゃった事業ですよね。

白石:そうですね。そこで様々な世の中のトレンドが分かります。電力会社や地銀のウェブ施策でPV(ページビュー)の推定を自社の商材開発や仕入れに活かせるので、研究開発としての側面もあります。営業利益は3.5億円、全体の90%がクラウド事業です。

杉本:損益分岐点はどこにありますか?

白石:人件費や諸々の経費が損益分岐点になりますが、基本的に超えています。サービス自体の原価はサーバー費用ぐらいで、大きな固定費用はありません。

杉本:参加企業が増えれば増えるほど、比例して人も必要になるんじゃないでしょうか?

白石:当社では営業活動を勉強会や1対Nで行い、1対1の営業活動を最小限に抑えることで効率化しています。ただ、受注したお客様の対応は当然重要なので一人ひとり丁寧に対応します。例えばコールセンターを用意してテレビ電話で対応するというのが1つですね。また、コンサルティングの要望もありますので、コンサルタントの養成も進めています。採用は去年までは大変でした。Jエンジンでも紹介している採用サービスを弊社も利用していて、今年は採用が好調ですので、どんどん増やしていこうと思います。

杉本:紹介したほうもされたほうもwinwinで良いですね。

白石:昔、タイムマシン経営という言葉がありまして、米国で流行ったサービスを東京に持ってくるという考え方で、これには3年ぐらいのタイムラグがあるといわれています。このタイムラグは東京と地方にも当然あります。公的支援制度を知っている、知らない、というような情報の非対称性をうまくパッケージ化して、地方の何も知らない中小企業に東京で流行っているITサービスと資金手当てを紹介するビジネスになっています。

杉本:大企業は儲かるけれども中小企業が苦しんでいる今、中小企業を元気にしようという企業理念が良いですよね。

白石:多くの企業が大口取引の出来る大手企業と取引しようとするなかで、赤字の中小企業をメインターゲットとする会社は弊社ぐらいではないかと思います。本当にサービスが必要なのは赤字の企業なのです。社員数20名以下で頑張って経営している中小企業こそ、東京の最新のITサービスをいろんな工夫をして格安で利用して、生産性を上げていくのが重要だと思うんです。

杉本:今の話と重なると思うんですが、Jバリューアップ研修についても具体的に教えていただけますか。

白石:採用が難しいなら、現存社員をスキルアップしようという考え方です。3年ほど前から注力していて、ソニーが作った経営者育成のためのマネジメントゲーム研修(MG研修)を提供しています。孫正義さんが大絶賛する研修で、ソフトバンクのマネージャーになる人は皆さん受講しますし、上場企業の社長もリピーターになるほど人気です。受講料は20万円で中小企業にとっては高額なので、Jバリューアップ研修では、公的支援制度とセットにして受けられるようにしています。

杉本:公的支援制度を組み合わせるとおいくらになるんですか?

白石:20万円を1,000円から2,000円位にしています。公的支援制度と共に、この研修の版権管理会社と協力して正式なオンライン版を作りコストを削減した結果、この金額が実現できました。内容を充実させる余地がまだまだありますので、上場したら(※)また改修をして、経営センスの長所・短所が分かる採点機能をつけたいと考えています。この研修もIT導入補助金で半額補助がもらえます。そして、このサービスを学生も受講できるような仕組みにし、就職活動をすればするほど学生がこの研修を受けられるようになり頭が良くなる。そのような革命を起こすことができたら、求職者も企業も一生懸命になる。誰も損をしない世界ができると思うんです。そういう世界観をいろいろなところで実現したいんです。 ※上場日2018/6/22、取材時2018/6/19

杉本:オンライン版なら九州や北海道など、なかなか東京に来られない地方の人でも受けられますね。

白石:そうです。社員数1,000人規模の有名なネット企業で、フランス、カナダ、日本の新卒学生に、そのサービスを試していただきました。

杉本:オンライン版とはいえ、コストはかかりますよね?

白石:1人当たり数千円です。ニーズはあるので、上場したらもう一度バージョンアップをしたいと思っています。京都大学とは取り組みを開始していますが、大学の授業でも利用できる形にしたいです。このような良い研修が世の中にはたくさんあるので、採用後の育成として取り入れて補助金や助成金を利用したり、オンライン化したりして安価にしていきたいです。そもそも、研修しながら採用出来たら最高だと思うんです。

杉本:最高ですね。

白石:こういう新しいコンセプトで市場を作りたいです。このMG研修のオンラインサービスはまさにそれを目標にしています。

杉本:MGオンライン(MG研修のネット版)は、上場後に改良を加えるとのことですが、それぞれのサービスがポートフォリオの中で占める比重はどう考えていますか?

白石:こだわりはないです。中小企業の困り事を解決する。その1点を直視してやるべきだと思っています。MG研修のニーズに応じて適正化します。ただ、後継者育成・事業承継は大切なので、経営者育成研修を学生の時から受けるという流れは重要だと思います。ただ、万が一MG研修よりも素晴らしい研修が登場したら、そちらを案内すべきです。また、MG研修の弱点が明らかになったら、弊社が全く違うコンセプトでその弱点を補完する研修を開発する事もあり得ます。べき論はないです。
今ご説明した複数のサービス群は、日本でこれから求められていく困り事の最たるものだと思います。比重としては、おそらく売上の8~9割に行くと思います。ただ、どのサービスがどれほどいくかは赤字の中小企業の経営者が決めることだと思います。

杉本:それらのサービスが彼らにきっちりマッチングするかという事ですね。

白石:そうです。これを売りたいから売る、というのはやってはいけないと思っています。経営者の困り事を定期的にヒアリングしていますが、そのベスト3を解決するために何のサービスを使えばいいのか、あるいは東京では何を使っているのかをご案内することが重要です。経営者が気づいていないパターンもありますが、あくまで経営者のニーズが1番重要だと思っています。

杉本:クライアントの比重でいうと、東京とそれ以外だとどれほどの比率ですか?

白石:ほとんどが地方です。東京もそれなりにありますが、地方が70%、東京が30%の割合だと思います。東京は中小企業を支援する会社が多いので、東京都と山口県で勉強会の日程が被ったら山口県に行きますね。

杉本:リンクアンドモチベーションのような会社と競合する可能性はありますか?

白石:リンクアンドモチベーションさんは大企業のため顧客層が違います。先方の廉価版といえば、あしたのチームさんだと思いますが、彼らは単価400万円位の価格帯で社員数300人規模、弊社は単価30万円で社員数も3人程度なので競合することはありません。

杉本:ほかに競合先はありますか?

白石:ないです。地方の中小企業をターゲットにする会社がないのです。支援コンサルなら船井総研さんがいますが、連携していますし価格帯も違います。それから、地方のIT化支援ならソウルドアウトさん。こちらも、ネット広告が中心ですし、当社はネット広告をあまりやらないので、お客さんを紹介しあっています。また、士業活用ならエフアンドエムさんがいますが、税理士さんの先の支援になるので、弊社はやるつもりはないですね。むしろ申請書類作成が楽になるようにIT化して、その代わりに手数料を下げてもらっています。従って、領域が若干被っている企業はいくつかありますが、完全に競争関係の会社は本当にないんじゃないでしょうか。

杉本:競争がないのはやりやすいですよね。

白石:過去に事例がないので説明は大変ですが、ブルーオーシャンであり、競合とバッティングすることがないのは非常に大きいメリットですね。

 <前へ  2  次へ>

(インタビュー日 2018/6/19)