株式会社ピアラ代表取締役飛鳥貴雄氏1/3

会社名  : 株式会社ピアラ
証券コード: 東証マザーズ 7044
代表者  : 代表取締役 飛鳥 貴雄(あすか たかお)
略歴   : 1975年生まれ、愛知県出身。早稲田大学法学部卒。2004年にピアラを設立、代表取締役に就任。マーケティングコミットカンパニーとして業界シェアを拡大し、2018年に東証マザーズ上場。
所在地  : 東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー29F
設立   : 2004年3月24日
事業   : 「ECトランスフォーメーション」をコンセプトに、ビューティ・ヘルス食品領域におけるダイレクトマーケティング事業を支援。
資本金  : 844百万円
URL  : https://www.piala.co.jp/

創業の経緯

宮崎善輝氏(株式会社ウィルズ取締役:以下、宮崎):2018年12月東証マザーズ上場、おめでとうございます。早速、創業から今までの経緯をお聞きします。

飛鳥貴雄氏(株式会社 ピアラ代表取締役:以下、飛鳥):当時、インナーウェアの外資メーカーであるトリンプ・インターナショナル・ジャパンに吉越浩一郎という有名な社長がいまして、19年増収増益中でして大変魅力的に感じ新卒入社しました。直営店のマーケティング統括とともに通販の室長を担当し、それから18年ぐらい通販に携わっています。

宮崎:マーケティングと通販はそこからキャリアが始まっているのですね。

飛鳥:そうです。まずは直営店でマーケティングを学びました。直営店のマーケティング統括の中に宣伝部も自分で作り、コストダウンを行ったうえで、「戦略や販促も全て自分のほうでやれるように社内調整をしました。そして、次に通販を立ち上げて、1年で黒字化を達成しました。通販システム構築、流通、販促、受発注、リピートまで経験し、事業責任者としてPLを管理することが出来たことは貴重な経験です。

宮崎:新卒入社のトリンプで驚くほど幅広い経験をされていたのですね。

飛鳥:はい。ブランド立ち上げも経験し、売れるものと売れないものが凄くはっきりしていて、それが大変おもしろく、やはりお客さんに喜んで頂ける企画をやりたいという想いが根本にありました。しかしながら、外資であるトリンプも意外と旧来型の日本企業が持つ特徴を持っていたりするんですね。

宮崎:なるほど。私も外資にいたことがあり、同様の感覚を持ちましたので共感します。

飛鳥:実績を出せば抜擢はされるのですが、組織と自分との関係性にWin-Winで対等な関係性構築が難しいと感じるようになり、独立を意識し始めました。もともとアパレルで独立したかったのですが、当時は今のように投資環境もそれほど充実しておらず、在庫リスクや店舗出店費用を考えると二の足を踏んでしまったわけです。従って、初期投資が抑えられる広告代理業での独立を考えました。メンバは、トリンプで私がバイトから引き上げた従業員と、発注先の代理店にいた先輩とその後輩の4人で始めました。

宮崎:優秀な方が組織におさまりきれずの熱きスタートアップですね。

飛鳥:私の出資金は50万円、総額100万円で始まった会社です。最初の半年、私は給料を貰わずに、ひたすら社員を食わせることだけに集中しました。従って、「何をやるかというよりもやれること」と「低コスト」を念頭にビジネス構築をしました。在庫を持たずに、企画で勝負ができる分野を選び何でもやりました。

宮崎:すごいですね。起業ストーリに胸が熱くなります。資本金100万円で立ち上げ、IPOに至るまでにはどのような歴史があったのですか。

飛鳥:弊社は2回大きく沈んでいます。当時、代理店経由でセシール向けカタログ通販の冊子作製で1回5千万円を年4回、1年目から2億円の売り上げがあったのです。私が編集長で、有名な出版社出身者を副編集長に置いて撮影から編集まで全部やりました。しかしながら、その代理店の契約自体が止まりまして、創業2年目で2億5千円の中、2億円がなくなりました。代理店経由はコントロールができなくて怖いので、そこから営業を頑張り、1億数千万円の案件を獲得しました。この3期目のみ減収して、15期までずっと増収しています。また、同じくして通販領域で紙の広告代理店から始まり、2008年ぐらいからWebの広告代理業を始めました。2004年から14年の10年間かけてテレビのインフォマーシャル、折り込みチラシ、それからコールセンター、物流、システム、Web広告の全領域にてサービス提供が可能な状態に持っていき、継続的に30%増収ぐらいで伸長しています。そして、90%以上が直接取引になっています。

宮崎:電話アポイントばかりで90%以上が直接取引ですか?

飛鳥:大手企業も全部直接電話アポイントで直接取引をしています。完全に実力勝負で獲得しています。基本的にベンチャー企業は「選択と集中でニッチのトップになれ」みたいなことを必ず言われていますが僕らは真逆をやっていました。「オールジャンル」対応可能な戦略をとり、それを徐々に昇華させようとしました。

ピンチからの業態転換とV字回復

飛鳥:ずっと増収しているのですけれど2015年には落ちました。上位10社中3社との取引がなくなったためです。1社は某化粧品会社が健康被害の事件を起こして、全部広告が止まりました。残り2社は、規模が大きくなった結果。大きい代理店の方が安心という観点で代理店を変えられてしまいました。
広告代理業界における企業の売上順位ってここ何十年変わってないんですよ。だから、ある程度予算が大きくなると安心な大手に変わっちゃうんですよ。

宮崎:2社のスイッチは同時に起こったのですか?

飛鳥:はい、同時にです。売上10億円近くが影響受けました。2012年ぐらいから一部クライアントには成果報酬の料金体系でシステムとともにサービス提供しておりまして、継続率が90%以上だったのです。いきなり売り上げがなくなったりしないことが、自分たちにも理解できて、2016年から組織も全部、そこに選択と集中しました。
2015年までは、ビューティーアンドヘルス、食品以外も、アパレル、不動産、保険とか。ダイレクト通信販売にかかわりそうなものは全業種やっていたのですが、我々が一番強くてリピート率も高くてノウハウも一番強いビューティーアンドヘルスに業界も特化して、成果報酬型に全部切り替えたのが2016年です。それで、一気にV字回復しています。今、この2016のこの赤色のグラフが、成果報酬、KPI報酬を持ってやっているのです。そして、青の図が普通にフィーでやってる広告マーケティング事業です。
広告マーケティングの売上げ利率が2015年までは高いため、主軸は広告代理業のように見えます。そして2016年に思いっ切り組織をシフトさせて、2年で116%伸びました。一気に売上げが上がってるというかたちになってます。

宮崎:これは見事なグラフですね。成果報酬の料金体系で継続率90%ということは、本当に素晴らしいサービス提供をされている証左ですね。また、事業としてもサブスクリプションを体現していて、フロー型からストック型へ見事に業態転換を果たされたということですね。

飛鳥:業態変更を思い切りしました。既存事業の調子も良かったので、2015年のショックがないとここまでの変化を実現できなかったと思います。無駄を省いて選択と集中をして、一気にそこで「KPI保証をやり切った」ことが、今回上場の成功要因です。

宮崎:ドラマのような話ですね。このグラフに関しては、ピンチからの業態転換とV字回復が見事ですね。

飛鳥:この2015年のときはかなり厳しい状態で、調達も難しく、支払止めるために関係者に謝りに行ったりとかして、自分の給与8割カットしたりして、なんとか自力で乗り越えました。

宮崎:自力ですか?いや、生きた心地がしないですよね?

飛鳥:しないですね。ただそのおかげで翌年2016年はV字回復したことにより、安心感を得て関係者からの投資が一気に進みました。

宮崎:結構、壮絶なお話です。

飛鳥:普通の代理店から出発し、ビジネスの流れの全領域を対応できるように範囲を広げ、10年間かけて通販総合コンサル代理店になって、更にシステムに特化しつつ、マーケティングオートメーションを経て、成果報酬型への展開という変遷を経ている会社ですね。

宮崎:非常におもしろいですね。その時代に応じて、またその事業の結果を見てすぐに事業転換を、しかも数年おきにやり続けられているのは見事ですね。そしてこの2015年の社長のリーダーシップは圧倒的だと思います。

飛鳥:はい。その時ばかりは、主要メンバーが辞めてしまうかと思ったのですが、誰一人として辞めていないのです。この経験を経て、逆に筋肉質になっていくことが出来たと思います、やはりそこはすごく大きかったなあと思いますね。

宮崎:この経験が組織のDNAとなり、今後同様の危機が訪れたとしても、自力で乗り越えられる自信が社内に蓄積されているであろうし、マーケットからも信頼感をもって見られるでしょうし、これは企業価値の源泉だと思います。

飛鳥:この2015年を乗り越えて学んだことは、「ストック型ビジネスが一番」であるということです。システムもストック型ビジネスですが、競合が多く厳しいビジネス環境です。そこで、私たちは少し変わったストック型ビジネスをやっています。広告マーケティングを成果報酬型にしつつ、そのシステムを無料で導入させて頂いているのです。その結果、利用企業の継続率が95%を実現できており、その結果ストック型のビジネスが出来ている状況です。

宮崎:ストック型ビジネスのシステムを無料にしつつも、本質的な成果を出し続けることにより、結果としてストックになっている、ということがすごいですね。

飛鳥:継続率が高く、社数が安定的に増加し続けるのは、ストック型風なビジネスを確立できていると思います。従って、僕らは一番大切なKPIとして社数を置いています。契約率が高く、社数がきっちり維持されていればビジネス環境が激変することはありません。

宮崎:「結果的にストックビジネス状態になっている」のがすごいですね。

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(インタビュー日 2019/1/10)