株式会社MS-Japan 代表取締役社長 有本隆浩氏

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会社名  : 株式会社MS-Japan(エムエス ジャパン)
証券コード: 東証1部 6539
代表者  : 代表取締役社長 有本 隆浩
略歴   : 1961年生まれ。大阪府出身。大学卒業後に㈱リクルートを経て、28歳で株式会社日本MSセンター(現 株式会社MS-Japan)を設立し、代表取締役(現 代表取締役社長)に就任。1995年、業界では、いち早く人材紹介事業の許認可を取得し、管理部門特化型NO.1エージェント(※注)として業界をリード。2016年12月マザーズに上場し、1年後の2017年12月に東証一部上場を果たす。※注:2017年3月、楽天リサーチ㈱調べ「人材紹介のブランドに関する調査」
所在地  : 東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム4F
設立   : 1990年4月
事業   : 企業の管理部門及び会計・法律事務所に特化した人材紹介事業,経営管理情報のコミュニケーションプラットフォーム「Manegy(マネジー)」の運営
資本金  : 580百万円(2019年3月31日現在)
URL  : https://company.jmsc.co.jp/

転職潜在層を囲い込む「Manegy」、登録者数毎年20%増

宮崎善輝氏(株式会社ウィルズ取締役:以下、宮崎):早速、貴社の事業内容のお話をお聞かせ願えますか。

有本隆浩氏(株式会社MS-Japan 代表取締役社長:以下、有本):当社の主な事業は人材紹介事業です。
ただ、少し特殊な会社でして、ある2つの領域に特化をしている紹介会社です。
1つ目は、企業の管理部門人材。経営の中枢を担う、経理、総務、経営企画、人事、総務といった役職の人材を集めております。2つ目は、士業で、会計士や弁護士、社労士といった資格をもった方、もしくはこれを目指されている方を専門としています。当社は、これらの領域においてはどちらも特化型ではトップシェアのエージェントです。

他にも関連したサイト運営をしています。会計関連サイトは「KAIKEIFAN」。法律関連のサイトは「LEGAL NET」それから、「J-ing」という日本全国の会計や法律事務所が探せる検索サイトを運営しています。そして、今後の戦略事業としては、「Manegy」という経営管理のプラットフォームを作っていこうとしています。

宮崎:ありがとうございます。前者の「KAIKEIFAN」「LEGAL NET」「J-ing」と「Manegy」にはどのような関係性がありますか?

有本:最初の目的から順番に説明します。
まずは、管理部門、士業の人材プラットフォームを作ろうという発想がありました。要は、戦略的に、潜在的転職者を全て囲ってしまおうということです。
多くの有益な情報を提供することによって、人材が集まるようにする。そして、集まった人が転職をする際に当社のサービスで転職してもらうという構想です。
人材分野は、こういった取り組みが一人歩きして大きな事業になっていきます。
より高利益、高収益の事業を作るために全領域を囲い込んでしまう目的として「Manegy」を位置づけ、よりコストがかからない事業に成長していきます。

宮崎:なるほど。転職者が求職を始める前から囲い込んでしまおうというところですね。登録者の推移は如何ですか?

有本:大体年20%くらい増加しています。これを具現化できる1つの理由として、他社の媒体に頼らず、自社の媒体で人を集めていることが挙げられます。当社は、今年に入ってから97%が自社メディアによる登録です。

宮崎:つまり、御社の強みというのは、今までの事業で培ったデータと、人材を自社獲得できる事でしょうか?

有本:そうですね。当社は、webマーケティング対策を徹底しています。
常に、当社の事を知ってもらえる様な対策をとっており、ここには相当なコストをかけています。
また、効率を見極めたうえで、電車のつり広告やシール、駅の看板、それも東京駅、丸の内、赤坂、新宿、飯田橋、虎ノ門など主要なビジネスエリアの駅には当社の看板が出るようにしています。

宮崎:管理系の人材に関しては厳選された場所でブランド認知をし、ネットで検索された時に、検索後のウェブマーケティングの導線が設計されている。そこが強みであり、今後も強化されていくポイントという事ですね。

有本:自社集客を確立している会社さんが少ないのではないでしょうか。

宮崎:さらに、御社は領域を特化されているという点がまた強みですね。

有本:そうです。ただ、総合型ではないので、幅広いマスマーケティングには向きません。絞られた領域での広報戦略を取っています。この場合、ターゲットが明確なネットが一番有効でした。その為、当社ではサイト作成にコストをかけて集客をしています。

宮崎:他のサイトにおいても管理系の転職サイトはあると思いますが御社のサイトでは登録率が高いという事が御社の強みになっているという事でしょうか。

有本:そうです。他社媒体に求人情報をのせても、結局、その情報は当社が出している為
お金を払って情報を他社に提供している事になります。そのコストを下げ、より利益率を上げるための取り組みをしています。
例えば、他社メディアに求人情報を提供しても、他社メディアを見ている転職希望者はほとんどが当社にも登録をしているので、結局、情報を提供してお金を払い他社メディアに送客をしている形になります。
この余分なコストを見直し、この数年で現在の戦略が出来上がりました。

宮崎:つまり、外部にお金の流出が発生してしまうという無駄なコストを抑え、かつ、利益率を改善できる戦略が出来ているという状況ですね。
さらに、その利益をメディアのコンテンツ充実に充てられて更なる循環を作られているのですね。

有本:そうです。他社は、転職希望登録者のデータを買っているので、売り上げの20~30%の手数料を支払っています。しかし、当社は97%が利益という体制ができております。
つまり、他社の利益は7割以下で、当社の仕入れコストはサイトだけというのが、中長期の勝算になってきます

宮崎:盤石な戦略を整えられておりますが、競合はいらっしゃるのでしょうか。

有本:競合はいませんね。

宮崎:管理人材領域において事業をされていると思うのですが、今後のリスク認識と対策はどの様なものを考えられていますか?

有本:当社の経営戦略の柱として、起きる前に、先手を打つというポリシーがあります。当社は、そのリスクを知った段階では戦略が打てている。今までそのやり方で過去からやってきています。例えば、法改正が起きるとします。そしたらおそらくこうだろうと想定して動く。これを当たり前に実行しておりますので、当社はリスク対策は常に完了しているという状況です。その為この領域で圧倒的なシェアを得る事ができました。具体的に言うと、法改正が起きたとき、次、どういうマーケットが予想できるのかという先手を打つことができ、市場の高いシェアに繋がりました。

宮崎:なるほど。情報収集力と組織力で早めにリスク把握をされて、リスクとして顕在化する前に対策を完了させているということですね。

有本:そうです。わかりやすい例でお伝えすると、日本の会計処理を、世界の会計処理に揃えて行こうという事で、2000年ごろに法改正が起こりました。そこで、私達は、USCPAをお持ちの会計士を上場企業に多く送り出しました。他にも、孫さんがナスダックを日本に上場させた時もチャンスでした。IPOのハードルが下がるだろうと予想し、IPO人材を企業に送り込む下準備を始めました。
中小企業が上場するとなれば、当然、経営管理に課題が生じます。特に経理が弱いので強化しないといけません。そこにチャンスを見出しました。
先駆者は、誰も気づいていないから先駆者になれるのです。
当社がマーケットシェアのほとんどを獲得できているのは、先手を打っているからです。

弁護士に関する法改正の例で言うと、弁護士受験の資格が、アメリカと同じ様に、法科大学院を卒業した人が司法試験を受ける資格を得るという制度が出来た時もチャンスでした。
この法律の変更で、司法試験に合格できず、企業で法務をしていた人がもう一度母校の大学院に戻り受験する事を予想しました。法科大学院の7~8割が合格すると言われていたのですが実際は2~3割しか合格しませんでした。
つまり、大多数の就職浪人が発生する事になり、多くのロースクール生が再度企業に送り込まれるという事が予想されました。
ここも先手を打ち、圧倒的シェアを獲得しました。
公認会計士も同じで、バブルが崩壊して、10年間で景気が後退しました。当然、監査法人の人数も一気に減り、会計士を抱え込めなくなりました。
その事で、資格を取っても監査法人に就職できない人達があふれかえりました。
そこで当社は、こういう方々に新しい働くフィールドである「7つのフィールド」を作り、会計士の転職を支援しました。当時は、企業で働く公認会計士は少なく、ほとんどの資格を取った会計士は監査法人に就職をしていました。当社は、公認会計士が企業で働く流れを作った会社なのです。

宮崎:その時の時代の移ろいを把握し、ニーズギャップにすぐに対応する。実際に日本にそのニーズが出てきた時には、既にビジネスとして立ち上がっているという事ですね。
そして、リスクとして顕在化する可能性がある物は、全てチャンスに展開されているという事ですね。

有本:変化はチャンスですからね。

宮崎:1つ1つがビジネスポイントになっていて、その蓄積が今の御社を作っているという事ですね。

有本:チャンスをものにする為には、行動をするという事ですね。
常に、反省し、素早く情報を仕入れて、即行動をする。ということです。
これを繰り返していく事が事業戦略であり、勝ち組みのやり方だと思います。
勝つ会社は必ずこの方法を実践しています。

宮崎:今後もそういったリスクを先読みして手を打つ必要があるタイミングが現れるとお考えですか?

有本:実は、現在も新しいリスクに対して対策を打っています。ダイレクトリクルーティングと呼ばれるスカウト媒体に対しても対策をしています。
実は、集まっている転職希望者者のうち、9割弱の人は、当社内で転職先が決定していません。そういった方を1人でも多く成約させるために当社でもダイレクトリクルーティングのメディアを準備しています。。
媒体を作り、各社からスカウトが来る状態にするので、さらにそこに人が集まるという好循環を生み出すことができるのです。もう1つは、30年間の転職支援事業で、大量の個人データ、および企業のデータが蓄積されていますので、このデータを活用する戦略を立てています。それがDMPを構築していくというものです。人材紹介事業の求職者、採用の窓口である企業の担当者、決裁者の方々のデータだけで数十万人のストックがあり、他にも、IPOPROというサイトによるIPOを目指す企業データ、J-ingというサイトにおける日本全国の法律、会計事務所データがあります。そういうデータを全てDMPとして集約させ、次の事業に繋げていく予定です。それを具現化したものとして、今回の決算発表で打ち出したものが、BtoB事業です。

当社の強みは、全国の管理部門の方が当社を知って下さっていて、さらに、多くの転職者の方がいらっしゃる。
実は、企業にて何かの発注が行われる際は必ず管理部門の人が関与します。その為、当社の強みのこの領域はホットマーケットです。膨大な金額がこの管理部門を通じて動いておりますが、まだ誰も手をだしていない領域です。

宮崎:仰る通り、その点は企業の盲点だと感じました。

有本:当社は、管理部門の領域を握っているのでこの事業を始める事ができます。
今でも管理部門の多くは、業者を呼び、見積もりを出すというアナログな活動をしています。
この部分をデジタル化する事業をしています。当社がBtoBのプラットフォームを作成する事で商圏は一気に広がる事になります。
今回当社が目指している市場は、規模が大きく、大きな事業成長を目指すことができます。

宮崎:人材事業で法人における管理部門のネットワークを構築している事に加え、転職者として送り出したその方に対してもお客様になって頂くということですね。

有本:まさに、転職や採用だけではなく、業務で困った時も、当社のプラットフォーム活用してもらい、経営管理領域で働く方々にとって様々なご支援ができる会社にしていきたいです。この事業を通じて、経営課題を解決するプラットフォームを作り上げていきたいと考えています。

宮崎:この事業の可能性は、複数の収益化ポイントが設定されている事ですね。例えば、クライアントがIPOを目指していたとすると、、IPO準備を行うための様々な業務が発生しますが、内部統制を強化するために会計や労務管理のシステムを導入したり、様々なサービス提供を受けなければいけませんので様々な角度から経営管理領域を支援できる事業ですね。

有本:そうです。この様に、誰もやっていない事にいかに早く手を打っていくかという発想が当社の強みです。あわせて無謀な冒険をしない事も大事です。当社の持つメディアや顧客ネットワークをベースにする為、リスクが少ない事業展開をしています。

宮崎:事業を考える際に、新規x新規ではなく、新規x既存のビジネスを作っているということですね。

有本:そうです。市場やノウハウを持っている所に対して掛け算をして更なる市場を作っていきますのでリスクが少ない戦略です。

宮崎:その様な展開をされるからこそ、新しい事業も独占できるという事ですね。

有本:そうです。今回の事業は大きなチャレンジで、AIも導入を予定していますので大きな投資をしています。現在は経営管理領域におけるカオスマップを作成しており、管理部門向けにサービスを提供している業種を洗い出しています。これにより全業種を網羅したプラットフォームを作ることが始まります。

宮崎:新しい事業を広報するためのメディア活用にも、狙うべき人がどこで行動をしているのかという事を適切にセグメントし、広報メディアや媒体を活用するため、広報においてもリスクを下げられているのですね

有本:そうです。上場以来、機関投資家を中心に、長期的なご支援を頂いているのは、この様な特徴が理由だと思います。未来の可能性を着実に増やしている為、ご期待を頂いております。

宮崎:アセットがあり、プレーヤーが他におらず、競合がいない。かつ市場の大きさも十分であり、加えて御社は確実性の高いビジネスをされていますが、懸念点はございますか?

有本:当社は、ビジネスモデルには懸念点はありませんが、どのくらい市場を取りにいけるかを考える必要があります。なので、まずは着実なシェアを抑えに行こうと思っています。

宮崎:プラットフォームを作るとビジネスの成長の可能性が大きく飛躍しますね。

有本:そうです。軌道にのればBtoCの数十倍の市場を獲得することができます。非常に期待している事業です。この事業が軌道にのれば、日本の未来を背負う会社になりますね。

宮崎:個人投資家なら買いたいと思ってしまう内容ですね。この内容はいつから構想をされていたのですか?

有本:上場前後からずっと煮詰めていました。データベースが蓄積されるタイミングをみて開始しようと思っていました。

宮崎:なるほど。プラットフォームの強みがどの様に構築されて、そしてその次にどの様に生かされているかが予想できる機関投資家の方々は、事業の将来性を予想されてずっと保有されているという事ですね。

有本:そうです。そしてこのBtoBプラットフォームは市場が大きい事が魅力です。さらに、BtoBの事業ですのでBtoCに比べて金銭の支払いに対してもリスクが少ない事業として構築が可能です。

宮崎:なるほど。この事自体が個人投資家の方にとってメリットがあるお話ですね。

有本:そうです。ただ、当社のこの事業は準備段階なので、短期投資の方よりは、長期投資の方にメリットのあるお話だと思います。

宮崎:この事業は、2020年の2月にローンチをされて、何年後を目途に事業として基盤が固まるご予定ですか?

有本:あまり多くの時間をかけずに5年以内にはマーケットシェアをとりたいと考えています。認知が進めば多くの方にご利用頂けると思っています。
同じネットでの購買活動でも、BtoCのECサイトの様にネットで物を買うという常識とはかけ離れた世界が出来上がると考えています。
BtoBの新しい購買活動のネット社会を作っていきます。そして、法人のまだネット社会になれていない人の思考を捕まえに行く活動を行います。

宮崎:なるほど。習慣の市場も作るという事が更なる強みとして機能していくという事ですね。

有本:当社は起業当初、士業の先生方と提携をしました。
先生方は企業の課題を把握しています。その為、顧問先のお困りの方がいらっしゃったらご紹介下さいとお伝えすると、どんどん紹介をしてくれました。
ご紹介先が社長なので、すぐにご成約を頂く事ができました。
こういった事も売り上げのベースとして事業を拡大してきました。
どこにどういうニーズがあり、どうやったらウィンウィンの関係が作れるか。というところを模索するとビジネスは沢山作る事ができます。

宮崎:大変学び多いお話をありがとうございます。個人投資家の方向けのお話ですが、経営塾の様な心持ちで聞かせて頂く事ができました。最後に個人投資家の方にメッセージをお願い致します。

有本:個人の方に喜んで頂け、未来に期待をして頂ける会社になっていきたいと考えております。この会社すごいんだぞ、これからすごく大きくなるぞという様に常にワクワクして頂ける会社として、常に新しい事を発信できる会社として邁進していきたいと考えています。
その為にも、チャレンジを止めず、ずっとやり続けたいと思います

宮崎:本日はありがとうございました。

(インタビュー日 2019/11/27)

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